本記事では、福岡市(役所)職員採用試験の教養試験について解説します。
教養試験の科目や出題傾向、勉強方法をわかりやすくまとめたので福岡市役所の公務員を目指す方はぜひ参考にしてください。
教養試験は誰でも簡単に勉強できるものではありませんが、本記事で紹介する内容を理解して実践すれば効率よく勉強を進めることができますよ。
※その他、福岡市役所の試験内容は「【難易度解説】福岡市役所採用試験が難しい理由と合格するポイント」でまとめています。
福岡市役所の筆記「教養試験」とは
教養試験とは、一次試験で行われる筆記試験の一つです。
思考力・判断力と一般的な基礎学力がどれくらい備わっているのかを評価します。
選考区分 | 大卒事務 | 高卒事務 |
---|---|---|
試験時間 | 150分 | 150分 |
問題数 | 50問 | 50問 |
出題形式 | 択一式 | 択一式 |
レベル | 大学卒業程度 | 高校卒業程度 |
出題科目 | 17科目 | 18科目 |
配点比率 | 100点 | 100点 |
受験者の思考力や判断力を測る試験のため、速読・速答が求められれます。
単純計算すると、1問にかけられる時間はわずか3分ほど。マークシートへの記入や見直しの時間も考えると、テンポよく解答していくことが必要です。
実際に、時間が足りずに問題を解ききれない人は少なくありません。本番での時間配分を考えながら事前に過去問題集で練習しておくなど、十分な対策を取りましょう。
COLUMN:公務員試験の問題はどうやってできるのか
実は、公務員試験の問題は「公益財団法人日本人事試験研究センター」が作っており、そこから各自治体は問題を借りる形で試験を行っているんですね。
つまり問題の著作権は財団法人側にあるため過去問として問題を公開できないのです。また、出題タイプの話でも言いましたが、どの自治体も問題を借りている(出所は同じ)ため出題科目や問題数に違いはあるけど内容は同じなんですね。
なお、例外として国家公務員や東京都・特別区は独自に問題を作成して行っているので自由に問題を公開できているってわけです。
福岡市役所採用 教養試験の出題科目
教養試験は、 計算力や読解力を測る『一般知能』と、今までに勉強してきた基礎学力を測る『一般知識』で構成されています。
分野 | 科目 | |
---|---|---|
一般知能 | 数的処理 | 数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈 |
文章理解 | 現代文|英文 | |
一般知識 | 社会科学 | 政治|経済|社会 |
人文科学 | 日本史|世界史|地理|国語(高卒のみ) | |
自然科学 | 数学|物理|化学|生物|地学 |
このように中学~高校までに学んだ内容から多く出題されるので、”科目の多い大学入試共通テスト“だと思いましょう。
共通テストとの大きな違いは科目選択の有無でして、例えば共通テストであれば、社会なら日本史か世界史、理科なら物理か生物のように、受験に必要な科目を選択して試験を受けられます。
しかし、教養試験では全科目が必須です。なので、社会なら日本史も世界史も、理科なら物理も生物もすべて勉強しないといけません。
科目ごとの特徴や問題を紹介します。
数的処理
思考力や判断力を測る領域で、次の4科目から出題されます。
- 数的推理
- 判断推理
- 空間把握
- 資料解釈
問題例
数学的要素が強いため苦手とする受験者は多いです。しかし教養試験のなかで問題数が最も多く、50問のうち17問出題されます。
そのため、数的処理でどれだけ得点できるかどうかが合否に大きく影響すると思ってください。
対策法は、同じ問題を繰り返し解きながらパターンを覚えることです。受験者に定評のある「畑中敦子シリーズ」を駆使しながら練習しましょう。
文章理解
読解力を測る領域で、次の2科目から出題されます。
- 現代文
- 英文
問題例
英文は慣れるまでに時間が必要ですが、現代文は対策なしでも正解することは可能です。
問題数はそこそこ多く(50問中8問)、正解できれば他科目の負担を減らせるので、得点源にできるといいですね。
ガッツリやる科目ではないため、1日1問〜2問をコンスタントに解き、文章を読むことに慣れておきましょう。
社会科学
中学〜高校までに学んだ公民や現代社会に関する知識を測る領域で、次の3科目から出題されます。
- 政治
- 経済
- 社会
問題例
一般知識の中では出題範囲が狭く、取りかかりやすい領域です。また、一般知識の中で問題数が8~11問と多いので、優先して対策しないといけません。
また、社会は国際関係や社会問題、時事などを中心に出題されます。
参考書や過去問での対策だけでは不十分なので、普段からニュースや新聞などを読んで情報収集をしておくといいでしょう。試験1~2ヶ月前から「速攻の時事」を使って一気に仕上げてもOKです。
人文科学
中学〜高校までに学んだ社会に関する知識を測る領域で、次の3~4科目から出題されます。
- 日本史
- 世界史
- 地理
- 国語(Bのみ)
問題例
暗記科目なので覚えてしまえば簡単に点を取れます。しかし、出題範囲が膨大なうえに問題数も多くないのでコスパを意識して勉強することが大事です。
全科目・全範囲を勉強するより、出題頻度の高い分野に絞って覚えることがポイントです。
自然科学
中学〜高校までに学んだ数学や理科に関する知識を測る領域で、次の5科目から出題されます。
- 数学
- 物理
- 化学
- 生物
- 地学
問題例
数学、物理、化学は計算問題を含むため避けがちですが、基礎的な問題だけでも解けるように公式や知識を覚えるといいでしょう。
大学受験の解説本などがオススメです!
一方で生物と地学は理系科目の中でも暗記部分が大半を占めるので、物理や化学が苦手でも生物は必ず解けるように勉強してください。
福岡市役所採用 教養試験の出題傾向
教養試験の科目は多いですが、問題数は科目によって異なります。
次の科目別出題数一覧を参考にして、どの科目から手をつけるのか考えてみましょう。
科目別出題数一覧
科目 | 問題数 |
---|---|
数的推理 | 6 |
判断推理 | 6 |
空間把握 | 4 |
資料解釈 | 1 |
現代文 | 3 |
英文 | 5 |
政治 | 4 |
経済 | 2 |
社会時事 | 5 |
日本史 | 2 |
世界史 | 2 |
地理 | 3 |
数学 | 1 |
物理 | 1 |
化学 | 2 |
生物 | 2 |
地学 | 1 |
※上記の科目別出題数は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
まずは出題数の多い数的推理や判断推理から勉強を始めるといいでしょう。
なお、過去の頻出分野を科目別にまとめた一覧を次の記事で公開しています。
大卒事務
高卒事務
上記の記事を読めば「どこから勉強すればいいの?」という悩みを即解決できるので、ぜひ参考にしてください。
【対策】福岡市役所採用 教養試験の勉強法
ここでは、福岡市役所の教養試験を効率よく勉強する方法を解説します。
- 最初に勉強する科目を決める
- 頻出分野を把握する
- 復習をメインに覚える
勉強する科目を決める
まずは勉強する科目を決めましょう!
なぜなら、科目ごとに出題数が違うからです。
福岡市役所の試験科目はとても多いため、限られた時間のなかで全科目を勉強することは現実的ではありません。
そう考えたときに、出題数の多い科目が重要になるとわかるはず。出題数の多い科目で得点できなければ、合格点(30~35問)に達するのは難しくなりますからね。
上記で紹介した科目別出題数一覧を参考に、まずは数的処理と文章理解、そして政治を優先的に勉強するといいでしょう。これらの科目だけで全体の約6割を占めています。
- 数的処理:17問
- 文章理解:8問
- 政治:3~4問
合計:28~29問 / 50問中(56%)
極端に言えば、これらを全問正解できれば、あと2,3科目の勉強で合格点が取れます。逆に点が取れないと負担が増えるってことですね。
出題数が少ない科目に時間をかけても総合点は上がりません。すべてを勉強して中途半端になるよりも、まずは出題数の多いかつ勉強できる科目を確実に正解することが大切です。
頻出分野を理解する
福岡市役所の試験科目は多いですが、どの科目も全範囲から出ることはありません。
科目によって出題数に大きな違いがあるだけでなく、科目内においても頻出分野とそうでないものがあります。
たとえば、日本史は縄文時代から現代までが出題範囲ですが、過去の傾向を見ると”江戸時代より前の時代から”は出題がありません(大卒事務の場合)。
その一方で、明治時代から現代までは100%出ていることがわかるはずです。
やみくもに取り組むのではなく出題傾向を見極めて効率的に勉強を進める意識が大切です。
出題範囲を知る(過去問分析する)のは簡単ではありませんが、出ない分野をどれだけ勉強しても0点なので、メンドーですがやりましょう!
なお、過去の頻出分野を科目別にまとめた一覧を次の記事で公開しています。手っ取り早く傾向が知りたい方は参考にしてください。
大卒事務
高卒事務
復習をメインに覚える
決めた科目、分野に沿って知識をインプットします。
覚える方法は参考書を読み込んだり、ノートに書いたり、あなたにあったスタイルでOKです。しかし、どの方法でも重要なのは、先に進むことよりもどれだけ復習をしたかということです。
たとえるなら、先にどんどん進んで勉強することは、穴の開いたバケツで次々と水を汲むようなもの。そのままだと汲んだそばから水が漏れてしまいますよね。
それよりも漏れをふさぐほうがはるかにいい結果になることは明白。
僕の経験上、どれだけ勉強量を増やしても復習に時間をかけていないと覚えることはできません。僕も勉強時間の7割ぐらいを復習に充てていました。
覚えた翌日に再度見る
では、どのタイミングで復習するのがベストなのでしょうか。
人にもよりますが、僕は勉強した箇所は3日連続で見るというルールで覚えていきました。
要するにその日に解いた問題は短いスパンで3回見るというものです。
1日目 | 問題1〜10をやる |
---|---|
2日目 | 問題1〜10を見直して、問題11〜20をやる |
3日目 | 問題1〜20を見直して、問題21〜30をやる… |
とくに重要なのが翌日の復習。勉強した次の日に復習しないだけで一気に知識の定着が悪くなります。記憶の法則で有名なエビングハウスの忘却曲線でも人間の記憶力は翌日にガタ落ちすることが立証されていますからね。
最初のうちはけっこうシンドイですが、1カ月ほど続けてみれば結果が見えてくるので、復習メインを意識して勉強していきましょう。
福岡市役所採用 教養試験でよくある質問FAQ
最後に、福岡市志望者からよく質問される内容を紹介します。
- 過去問はどこで入手できますか?
- オススメの参考書や問題集は?
- 何から手をつければいいですか?
過去問はどこで入手できますか?
福岡市役所の過去問題は試験日に回収されるため入手できません。
例題は福岡市のホームページで公開されているので、参考にしてください。
なお、試験レベルが同じ(上級は大卒程度、初級は高卒程度)であれば、公開されている特別区や国家公務員の問題を代用しても良いでしょう。
問題集も基本的には国家公務員や特別区の問題が中心なんですよね。
オススメの参考書や問題集は?
大卒事務
- スーパー過去問ゼミ
- ダイレクトナビ
- (畑中敦子シリーズ)
高卒事務
- オープンセサミ
- スーパー過去問ゼミ
- (畑中敦子シリーズ)
この2冊+1をやれば十分です。
スーパー過去問ゼミ
実務教育出版が監修している”上級者向け”の参考書です。
要点が絞られており問題+解説という構成で勉強しやすい。
情報量はやや少なめなので、ある程度知識のある方や一通り勉強を終えた方には最適ですが、まったくの初心者がこれ1冊だけで試験に臨むのはリスクが高いかもです。
ダイレクトナビ
実務教育出版が監修している”初〜上級者向け”の過去問題集です。
選択肢中の誤りを赤字で修正しながら覚える「正文化」がすでに施されており、すぐに重要箇所をインプットできます。
付属の赤シートを使えば即アウトプットもできるの一石二鳥の過去問題集です。
オープンセサミ(参考書)
公務員予備校東京アカデミーが監修している”初心者〜中級者向け“の参考書です。
情報量が豊富でこれ1冊を覚えるだけでかなりの点数が取れます。
無駄な情報もそれなりに含まれているので出題範囲を絞って使えば高得点も十分に狙えますよ。
畑中敦子シリーズ
理系科目が苦手な人は取り組む価値のあるテキストです。
数的推理や判断推理、資料解釈について最もスタンダードな問題からやや応用レベルの問題まで、段階的にマスターできるように構成しております。
数学が不得意な方でも、解法パターンやテクニックを覚えることで、得意分野にすることは十分可能がコンセプト。
初めは解説を読んで解法をマスターし、それから自力で解けるようになるまで、繰り返し、手を動かして問題を解いてみてください!
Q3.ボーダーラインは何割ですか?
ボーダーラインは非公開であり、採用数や問題レベルによっても変動するため確かなことは言えませんが、合格者の情報提供や他サイトのデータから6~7割だと推測できます。
なので、一次試験の点数は最終合否には影響しないため、高得点を目指して勉強するよりも7割を安定して取れることが大切です。
したがって、筆記試験の対策は大切ですが、それだけでは合格できないことを理解してバランスよく対策しましょう。
まとめ|福岡市役所の教養試験攻略は出題傾向の理解がポイント
今回は、福岡市役所の教養試験について、試験科目と効率的な勉強方法を解説しました。
教養試験の問題は、高校までにきちんと勉強してきた人からすれば、それほど難しいわけではありません。
それなのに多くの受験者が悩んでいるのは、試験科目が多いからです。また、1科目あたりの範囲も広いので、出題傾向を理解してから勉強することが大切です。
出題のない分野に時間をかけても意味がありません。出題範囲を把握して、無駄な時間と労力を省き勉強しましょう。
まずは科目ごとの出題範囲を理解する。
そこから始めていきましょう!
今回は以上です。
なお、過去の頻出分野を科目別にまとめた一覧を次の記事で公開しています。
大卒事務
高卒事務